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ときどき変な日本の詩 

こんな詩をご存じですか?


 太郎を眠らせ、太郎の屋根に雪降りつむ。

 次郎を眠らせ、次郎の屋根に雪降りつむ。

                
これは、三好達治の「雪」という有名な詩です。知っている方も多いと思い
ます。

この簡素な詩は私が大好きな詩のひとつで、読んでいると独特なリズムの中に、
ある情景が浮かんできます。


 暖かい部屋で静かに眠っている男の子。
 外には、しんしんと音もなく雪が降り積もっている。


…まあ、こんなイメージです。

この情景の特異な点は、「音がない」ということです。

すべてが無音の中で進行し、それゆえに、限りなく平穏で温かい思いを、
読む人に与えてくれる詩だと思います。



さて、私がここで面白いと思ったのは、「太郎の屋根に雪降り積む」という
言い回しです。

理論的に言えば、太郎は家ではなく人間なので、もちろん屋根は付いて
いません。 (^_^;)

ですから、正確には「太郎の屋根」ではなく「太郎の家の屋根」となります。
           
英語に直訳すると、“snow drifts on the roof of Taro's house”とでも
なるでしょうか。


しかし、これではつまらないですねー。説明的すぎて…

やはり「太郎の屋根に雪降り積む」で詩になるのだし、特にこだわらなければ
それで不自然に感じません。

そこが日本語ってとっても不思議で「面白いなー」と感じる点です。


…こんなことにこだわる僕って、ちょっと変? (^_^;)


※ちなみに roofには「屋根」の他に「家」という意味もありますので、
 英語でも“snow drifts on Taro's roof”でOKです。
by danueno | 2006-12-14 15:25 | 編集後記


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