日本人に最適の英語学習法 (20) ●
期待 anticipation その2 「SIMうんちく」は、アグレッシブ・リスニングについて、 さらに深く突っ込んだお話を展開していますが、 前回から、「期待」anticipation についてお話ししています。 ちょっと復習しましょう。 まず例文です。 ------------------------------------------------------------- Henry and Anna Polivoda were active retirees until they were hit while out for a walk in their Los Angeles neighborhood by a car fleeing police because of missing license plates. ------------------------------------------------------------- この英文をセンスグループで句切り、SIM訳を付けて 読むとこんな感じでしたね。 まず冒頭のセンスグループです。 ------------------------------------------------------------ Henry and Anna Polivoda were active retirees … ヘンリーとアナ・ポリヴォダは活動的に引退生活を 送っていました ------------------------------------------------------------ このセンスグループを読んだだけでは、 現役を引退した幸福な老夫婦がどうなったかがわかりません。 次のセンスグループを見ると…。 ----------------------------------------------------------- until they were hit … 彼らがはねられるまでは ----------------------------------------------------------- ここで 「エッ!はねられたの?」とびっくりします。 「エーッどうして?」と、 読者はつい先を読みたくなります。 先を読むと、こんな感じでした。 ---------------------------------------------------------- while out for a walk in their Los Angeles neighborhood … 彼らのロサンゼルスの家の近辺を散歩中に ---------------------------------------------------------- 「散歩中にはねられたのかー。しかし一体何でまた?」 と読者の疑問はふくらみます。 この先のセンスグループで、大体の話の流れが見えてきます。 ---------------------------------------------------------- by a car fleeing police … 警察から逃げていた車に ---------------------------------------------------------- ここで読者は「逃走車だな!…でも、その車はどうして逃げて いたんだろう?」と、さらに話の続きがどうなるか 「期待」して待ちます。 ---------------------------------------------------------- because of missing license plates. ナンバープレートが無いために(逃げていた)。 ---------------------------------------------------------- 「あー、なるほど…!」と、ここではじめて、読み手は 話の全貌がわかる、ということでした。 ここで最も大切なことは、英語とはフレーズごとに 「次はどうなるんだろう!」と、先を「期待」しながら順次、 理解していく言語であるということです。 つまり、「英語とは、『期待』がカギを握る言語である」、 ということでしたね。 …ここまでが前回のお話でした。 今回は、ここからです。 前回の例文のように、「期待」が次々と後に続くフレーズに よって「充足」されていくということ、これぞ英語の醍醐味 なんです。 今まで言ったことを、ちょっと図にまとめてみましょう。 ―――――――――――――――――――――――――――――― 期 待 充 足 ―――――――――――――――――――――――――――――― いつはねられたの? → 散歩中に 何にはねられたの? → 逃走中の車に 何で逃げていたの? → ナンバープレートがなかった から ―――――――――――――――――――――――――――――― いかがでしょうか? このように、英語というものは、「期待→充足」という関係の中で、 はじめてセンスグループ同士が相互につながり、読者の理解が 成り立っていく言語である、ということです。 上記の英文の「思考の流れ」を、さらに詳しく下の図に まとめてみました。 「期待」が括弧の中で現わされています。 ――――――――――――――――――――――――――――――――― ヘンリーとアナ・ポリヴォダは活動的に引退生活を送ってい ました ↓ 彼らがはねられるまでは (いつはねられたの?) ↓ 彼らのロサンゼルスの家の近辺を散歩中に (何にはねられたの?) ↓ 警察から逃げていた車に (何で逃げていたの?) ↓ ナンバープレートが無いために。 ――――――――――――――――――――――――――――――――― いかがでしょうか? このように「期待」があるから、センスグループは次々に 有機的につながって行きます。 つまり「期待とはセンスグループの接着剤」なんですね。 これで、英語を読むときに「期待」(anticipation)が いかに重要であるか、おわかりいただけたことと思います。 …この続きはまた来週! …お楽しみに!
by danueno
| 2011-11-16 15:48
| SIMうんちく
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