刺身とわさび

昔の映画に、「喜びも悲しみも幾年月(いくとしつき)」という

 タイトルの作品がありました。


 燈台守の夫婦の戦前から戦後に至る25年間の生活を描いた、

 木下恵介監督の映画です。 


 私はリメイク版のTVドラマで見た記憶がありますが、

 その内容はタイトルそのままで、まさに「人生は悲喜こもごも」

 という感想を持ちました。


 人生に喜びと悲しみはワンセット。喜びだけではなく、必ず

 悲しみや苦しみがついてまわる、ということですね。



 ところで私たちは、喜びや楽しみの時は、それを精一杯楽しみ、

 喜び尽くそうとしますが、悲しみや苦しみの時はどうでしょうか?


 なるべくそれに触れない、思い出さない、考えないようにして、

 やり過ごそうとしている場合が多いのではないでしょうか?

 

 しかし私はこう思うのです。


 私たちの人生に喜びや楽しみが与えられていると同じように、

 悲しみや苦しみも、私たちに等しく与えられているのでは

 ないでしょうか?


 これが正しいとすれば、私たちは苦しみに対して、それから逃げず、

 顔を背けず、真正面から受け止めて「苦しみを味わいつくす」、

 そんな態度こそが求められるのではないでしょうか。


 私は、苦しみや悲しみの中からこそ生まれる、人生の深い味わいがある、

 と感じています。


 卑近な例でいうと、刺身とわさびです。

 わさびだけだと、辛くて食べられないでしょう。

 しかし、そのわさびは、何と刺身の旨さを引き立たせ、

 その味わいを深く、美味しいものにしてくれることでしょうか。


 私たちが苦しみを正しく味わうとき、私たちの人格には、

 順風満帆なだけの人生を送った人が決して持ち合わせない、

 ある種の「深い味わい」が加わるのではないかと思っています。




 
   Those who sow in tears will reap with songs of joy.

 He who goes out weeping, carrying seed to sow, will

return with songs of joy, carrying sheaves with him.
        
      BIBLE(Psalm 126:5)       


 〔涙とともに種を蒔く者は、喜び叫びながら刈り取ろう。
  種入れをかかえ、泣きながら出て行く者は、束をかかえ、
  喜び叫びながら帰って来る。〕

            聖書(詩篇 126篇5節)
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by danueno | 2010-06-30 15:01 | 編集後記


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