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「SIM同時通訳方式」の素晴らしい世界 その9

        「英語らしい表現をするために」




「SIMうんちく」では、「SIM同時通訳方式の素晴らしい世界」

 というシリーズが始まっています。


 今日はその9回目で、「英語らしい表現をするために」という

 お話です。


 前回は、「SIM訳とは自分のための訳である」というお話を

 しました。 ちょっと、復習しましょう。




「SIM訳」は他人に見せるための訳ではありません。

 自分が理解できれば、それで良いのです。

 つまり、SIM訳は「自分のための訳」なんです。


 したがって、日本語としてはスマートでなくても、

「英語に忠実な訳でありさえすれば良い」のです。


 つまり、「SIM訳」は「直訳」でOKで、

 少々日本語としてぎごちなくても全く問題ありません。


 
 ところが、これに対して日本の学校教育では、

 英語を、いわゆる「こなれた日本語」に訳すことが

 大切である、と教えられています。


 ですから、これに慣れた日本人は「SIM訳」を目にした時、

 非常な違和感を持ってしまうのです。



 しかし英語のスピード理解には「英文に忠実な訳」が欠かせません。

「英文に忠実な訳」とは、「英語の語順に忠実な訳」ということです。


 なぜなら、語順をあれこれいじくり回していては、

 英語をスピーディーに理解することなどできないからです。 
 

 つまり英語のスピード理解のためには、

 英語を「英語の語順」でセンスグループごとに句切って訳すこと、

 つまり「SIM訳」でどんどん文頭から読み下していくのが、

 一番効率的な方法だと言えるのです。




 …前回は、このようなお話をしました。

  今日はこの続きです。



 今回は、SIM訳の目的のひとつは「英語らしい表現」をするため、

 ということについてお話しましょう。

 
 実は、「英語らしい表現」は、SIM訳してみればわかるのです。

 簡単な例文で説明しましょう。


 
 ---------------------------------------------

   He was the first to answer.

---------------------------------------------

 
 この英文は中学2年のテキストに載っていましたが、

 その日本語訳として、「彼が最初に答えました」とありました。


 しかし、この訳では英語を勉強したことにはならないんです。

 なぜなら、この訳では「英語らしさ」が全く表れていない

 からです。


 では、同じ英文をSIM訳してみましょう。


 ---------------------------------------------

   He was the first / to answer.

   彼が最初の人でした   答えた。

---------------------------------------------
 

 この文の英語らしさを損なわずに訳すためには、

 まず、He was the first「彼が最初の人でした」と

 訳す必要があります。


 その後で、何の最初の人だったのかを表すのに、

 to answer「答えた」と表現するのです。


 これが英語的な感覚です。


 つまり、まずS+Vで、He was the first

「彼が最初の人でした」とズバッと物事の本質を表現し、 

 その後で付帯状況を、to answer「答えた」と

 不定詞で説明するわけです。


 このような発想をするように普段から心がけていると、

「彼が最初に答えました」を英語で言いなさい、

 と問われた時も、まず、He was the first… と

 口に出すことができます。


 もちろん、これを、He answered first. と言うことも

 できますが、それでは「最初の人」を強調したいニュアンスは

 伝わりません。





   …この続きはまた来週!



           …お楽しみに!


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by danueno | 2009-03-04 15:10 | SIMうんちく


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