アグレッシブ・リスニング

-「翻訳の問題」その5-
  


「SIMうんちく」は、アグレッシブ・リスニングについて、

 さらに深く突っ込んだお話を展開しています。


 前回に引き続き「翻訳の問題」についてお話ししましょう。

 ちょっと復習です。


 まず前回の例文をご覧ください。

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     One in three U.S. children born in 2000 will

  become diabetic unless many more people start eating

  less and exercising more, a scientist with the Centers

for Disease Control and Prevention warns.

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 次に、この英文を日本語に翻訳してみます。

 私達が通常、目にする訳です。


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 より多くの人々が食べる量を減らし始めないかぎり、そして、

 より多くの運動をし始めないかぎり、2000年に生れたアメリカの

 子供の3人にひとりが糖尿病になります、と疾病対策予防

 センターのある科学者は警告します。

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 いかがでしょうか?

 面白みに欠けるツルンとした文章になってしまいました。


 どこが面白くないかというと、ここにはドラマがないのです。

 このような翻訳調では、センスグループごとのドラマが

 壊れてしまうので面白みがないのです。


 ドラマ性に欠けた「予定調和」の世界と言うこともできます。

 先が読めてしまいスリルがありません。

 ここには英語を読む醍醐味はありません。


 このような読み方をしていては、英語に興味が持てなくなるのは

 当然でしょう。


 私たちは、学校で「返り読み」式の翻訳を習いますが、

 それこそ英語をつまらなくしている元凶だったのです。



 …と、ここまでが前回のお話でした。


 今回は、ここからです。



 では、「フレーズごとのドラマ」を最大限に感じ、楽しみ、

 味わう読み方とは何でしょう?


 それはもちろん、今まで何度も言ってきました 「SIM同時通訳方式」

 ですね。


 私たちがこの方式で、英語を読んだり聞いたりするときはじめて、

 英語の持つ深い味わいの根本である「英語の醍醐味」「英語のいのち」

 に触れることができます。



 SIM同時通訳方式で読むと、同じ英文も、次のようにドラマチックに

 展開していきます。


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  One in three U.S. children born in 2000 will become diabetic…
 
   2000年に生れたアメリカの子供の3人にひとりが糖尿病になります


  ↓


  unless many more people start eating less and exercising

  more, …

  より多くの人々が食べる量を減らし始めないかぎりそして、より

  多くの運動を(し始めないかぎり、)


               ↓


  a scientist with the Centers for Disease Control and

  Prevention warns.

  と、疾病対策予防センターの、ある科学者は警告します。



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 まず最初のセンスグループで、読み手は「ドキリ!」とします。

 「エッ!子供が糖尿病になる? いったい何のことだろう」と…。


 すると、次のセンスグループで読み手は、

 「なーんだ、食べる量を減らして、運動をすればOKなんだ!」

 と、少しばかりホッとします。


 さらに、最後のセンスグループで、

「そうか、これは専門家による確かな意見なんだな…。なるほど!」

 と、このように読者は段階的に説得されるわけです。



 このようにSIM同時通訳方式で英語を読むと、

 英米人と同じようにセンスグループごとにハラハラ、ドキドキ

 しながら読んでいくので、「意味の流れ」に従って

 ドラマティックな展開を思う存分楽しむことができるんです。


 SIM同時通訳方式のような読み方で読むときにはじめて、

 英語は面白く、手応えがあり、喜びをもたらしてくれるものに

 なるのですね。




 ただし、このSIM同時通訳方式には、欠かせないあるひとつの

 条件があります。


 それをしなければ「SIM同時通訳方式」も意味が薄れてしまいます。

 それが、これからお話しする「期待」(anticipation)です。



 英語では、フレーズごとに「次にどんな言葉がくるのかな?」と

 次を「期待」しながら、読んだり聞いたりしているんですね。


 ですからこの「期待」が英語を理解する上では非常に重要になります。

 なぜなら、英語とはまず話の核心「S+V」を言い、順次それを説明、

 補完、強化していく言語であるからです。
 

 では、次回から、この「期待」を詳しく説明していきましょう。



     …来週をお楽しみに! 
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by danueno | 2008-09-17 13:55 | SIMうんちく


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