人気ブログランキング | 話題のタグを見る

「保持」(retention)の大切さ  第4回

【今日のテーマ】 

     ●  「保持」(retention)の大切さ  第4回 ●
  
           ~「保持」の具体的な注意 ~           


 
「保持(retention)の大切さ」は今回で4回目です。

 皆さん、かなり retention ができるようになりましたか?

 このメルマガを読むときも retention と anticipation の両方を注意して
 読みましょうね。(^o^)



 さて前回は、実際にセンスグループを保持して訳す上での「具体的な注意」
 を書きました。

 ちょっと復習しましょうね。


---------------------------------------------------------------------
<英文> 

 I went to Harajuku to meet with Ichiro the day before yesterday.


---------------------------------------------------------------------
<SIM訳付き英文>
 
 I went to Harajuku …
    僕は原宿に行きました
 
         to meet with Ichiro …
            イチローに会うために 
  
              the day befpre yesterday.   
                    おととい。

---------------------------------------------------------------------


 この英文を retentionしながら読むときの注意として、次のことがありま
 した。

 それは、それぞれのセンスグループを順番に頭に input したら、絶対に
 頭の中でひとまとめにしてはならない、ということです。

 つまり…

--------------------------------------------------------------------- 
  
  僕は原宿に行きました → イチローに会うために → おととい。
      A             B         C  
---------------------------------------------------------------------


 この「A」「B」「C」というそれぞれの意味のかたまりは、頭の中でも
「A」「B」「C」のまま、独立して存在していなければなりません。
 
 これを、頭の中で(僕はイチローに会うためにおととい新宿に行った、と
 いう意味だな…)と、語順を組み替えて意味を取ってはいけません。

 それでは、頭の中で語順を組み替えて理解したことになり、いつまでたっ
 ても「日本語の思考法」から自由になることができません。

 あくまで「僕は原宿に行きました」「イチローに会うために」「おととい」
 という3つの情報が、混じり合わない形で脳に固定-理解される必要があ
 るんです。

 その意味で、「全文訳」や「意訳」に頼ることは、いくら内容を理解する
 助けであるにせよお勧めできない、と前回言いました。

 
 
 とは言え、このことは「文末V感覚」を強烈に持つ日本人には辛いことで
 あるのも事実です。

 …そこで私にひとつの提案があります。

 日本人に違和感がなく「英語の思考法」にも忠実な英文解釈法というものが
 あるんです。

 それは何かというと…「会話体にする」ということです。



 以前このような英文を皆様にご紹介しました。


----------------------------------------------------------------------
<英文>

  One in three U.S. children born in 2000 will become diabetic
unless many more people start eating less and exercising more,
 a scientist with the Centers for Disease Control and Prevention
warns.


----------------------------------------------------------------------
<SIM訳付き英文>


 One in three U.S. children born in 2000 will become diabetic … 
 2000年に生れたアメリカの子供の3人にひとりが糖尿病になります
 
     unless many more people start eating less …
      より多くの人々が食べる量を減らし始めないかぎり

     and exercising more, …
       そして、より多くの運動を(し始めないかぎり)

        a scientist with the Centers for Disease Control
        and Prevention warns.
      と、疾病対策予防センターの、ある科学者は警告
         します。


-----------------------------------------------------------------------

 このように長くて複雑な文章になると、英語の語順で retension しながら
意味を取っていくことは簡単なことではありません。

 慣れればそう難しくないでしょうが、SIM同時通訳方式を学び始めて日が
浅い方には、このSIM訳そのものが奇異に感じられるかもしれません。

 しかし、ここで、「返り読み式」に戻って …

  「より多くの人々が食べる量を減らし始めないかぎり、そして、より多く
  の運動をし始めないかぎり、2000年に生れたアメリカの子供の3人に
  ひとりが糖尿病になります、と疾病対策予防センターのある科学者は警告
  します。」

 …と理解していたのでは、元の黙阿弥です。


 そこで特に初心者の方にお勧めしたいのは、この長い英文をセンスグルー
 プで切って訳す際に、これを「会話体」にしてしまう方法です。


--------------------------------------------------------------------

One in three U.S. children born in 2000 will become diabetic … 

  「2000年に生まれたアメリカの子供の3人にひとりが糖尿病になる
   んだよ。」


unless many more people start eating less …

 「食べる量を減らし始めない限りね。」


and exercising more, …
 
  「そして、より多くの運動をし始めない限りね。」


a scientist with the Centers for Disease Control and Prevention warns.

  「疾病予防センターのある科学者が警告している話なんだけどさ。」


------------------------------------------------------------------------


 …いかがでしょうか。

 あなたは、このような日本語訳に違和感を感じるでしょうか?


  「2000年に生まれたアメリカの子供の3人にひとりが糖尿病になる
    んだよ。」

  「食べる量を減らし始めない限りね。」

 「そして、より多くの運動をし始めない限りね。」

  「疾病予防センターのある科学者が警告している話なんだけどさ。」



 …違和感ないですよね。 (^o^)

 このように、SIM訳も会話体にすると、不思議なことにブツブツ切れる
 ような違和感がなくなります。

 実は、会話体は非常に融通のきく面白い文体で、そこでは主語Sや述語動詞
 Vがなくても成立してしまうんです。

 つまり会話体というのは「省略」と「倒置」の極致なので、それに慣れてい
 る私たちは、SやVが省略されていても別に違和感を感じないんです。

 ですから、文末V感覚にそまっている日本人も、会話体ではそもそもVが
 ない場合すらあるので、会話体に直したSIM訳なら全く違和感なく受け入
 れられる、というわけです。


…いかがでしょうか?

「どうしてもSIM訳の違和感を感じてしまう」と言う初心者の方は、一度
 発想を変えて、SIM訳を会話体に変えてみるとすんなり頭に入ると思い
 ます。

 もちろんSIM方式に慣れて「英語の思考法」が身に付いて来れば、こんな
 面倒な作業をしなくても、スムーズに理解ができるようになりますが…。

 ともあれ、この会話体…、面白いですからいろいろ試してみてください。

 そして、実を言うと、この「会話体」には英語理解のカギが隠されているん
 です。

 それは何かというと…

  
              …この続きは …また次回。

   
                      お楽しみに! \(^o^)/
by danueno | 2006-02-03 11:04 | SIMうんちく


<< 日本語のルーツ 面従腹背(めんじゅうふくはい) >>