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「SIMの英文法」その57

            「第2文型」その1 



 さて、今日から第2文型です。

 第2文型とは、もちろん S(主語)+V(述語動詞)+C(補語)

 です。


 ところが、この「補語」が何か良くわからない、という人が

 たまにいます。


 補語とは、簡単に言うと「主語とイコールになる関係の語」を言います。

 たとえば、下記の例文を見てください。

 わかりやすく説明するために、あえて簡単な例文にしました。


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    Mr. Smith has been ill for a week.

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 これを「英語の語順」で理解するために、前置詞 forの前で

 句切りましょう。


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    Mr. Smith has been ill … for a week.

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 まず、前半です。

「スミス氏は具合が悪い」とまず言っています。

 ここで、「スミス氏 = 具合が悪い」 というイコールの関係が

 成り立ちます。


 そうすると、ill(具合が悪い)はこの場合、補語ということになり、

 この文は第2文型ということになります。



 ところで、今「スミス氏は具合が悪い」と訳してしまいましたが、

 実はこれは正確な訳ではありません。


 has been は be の現在完了形で、現在と完了、すなわち現在と過去とを

 一文で言ってしまう表現です。

 ですから、日本語ではこれを、ひとことで表す事ができないんです。


 つまり、has been illを訳すのに「具合が悪かった」とするか、

「具合が悪い(あるいは直前まで具合が悪かった)」とするかの

 どちらかです。


 でも、この英語の本当の意味は「過去のある時から具合が悪かったし、

 今も具合が悪い」ということを言っています。

 つまり過去と現在を同時に表現しているのです。


 したがって、現在完了形を見たときには、常に1文の中に2つの時点の

 事が表現されていることを確認していなければなりません。


 これは英語に含まれている内容を、簡潔な日本語に翻訳できない1つの

 例です。



 さて、この文章を、先ほど「英語の語順」に従ってふたつに句切りました。


  ------------------------------------------------

    Mr. Smith has been ill … for a week.

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 こんな短い文章まで句切る必要があるの?

 という疑問の声が出そうですね。

 実は、SIM同時通訳方式による訓練は、簡単な短い文章から

 始めなければなりません。


 そこができていないのに、いきなり長く複雑な文章にチャレンジしても、

 結局うまくいかないからです。


 それに、このような短文にも英語のエッセンスが詰まっているのです。

 それを、ちゃんと味わうためにも、センスグループごとに、きちんと

 句切っていくことが大切です。


 SIM同時通訳方式では、Mr. Smith has been ill … まで読んで、

「スミス氏は、ずっと病気だ…」と訳します。


 そうすると、そこまで理解した時点で、

「それは、いつからいつまでなの?」という自然な疑問が起こる

はずです。


 つまり、has been ill で句切るからこそ、その後に期間を表現する

 副詞句が現れるはずだという事が期待(anticipation)できるのです。


 そして、for a week を読んだ時に、瞬間的にその期待が充足される、

 という知的な満足感を、脳が味わっているはずなのです。

 これが「ネイティブ思考法」の醍醐味です。


        …この続きはまた来週!


       …お楽しみに! 
by danueno | 2010-09-08 16:38 | SIMうんちく


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